アン・マレーと向田邦子「幸福」

The Best..So Far

The Best..So Far

何となくバンクーバーの開会式を眺めていたら、オリンピック旗の入場のところで「アンマレーさん」と紹介されているじゃないですか。懐かしい名前です。
僕は同時代人とは言えないのですが、70年代のフォークっぽい女性歌手は結構好きですね。カーペンターズは何度も再ブームになっているんですが、残念だけど他は日本ではそれほど人気ない感じですよね。でも、最近キャロル・キングは何度も来日してるか。
実のところ、オリンピックってサッカーを除くと昔からほとんど興味ないのですが( そういうことを学校社会や会社社会で言うと、かなり嫌われる感じになるので黙っていますけど、サッカーに関心のない人にとってのワールドカップ期間中みたいなものでしょうね)、開会式や閉会式で誰が( 歌手だけでなく)出てくるかは興味があります。
ブライアン・アダムス( まさかのネリー・ファータドと一緒)が歌ったということは、閉会式はセリーヌ・ディオンなのでしょうか?( アラニス・モリセットはちょっと万人受けはしないしアメリカ国籍になってたの違うかな)
で、アン・マレーと言ったら 「辛い別れ」、というより 「You Needed Me」です。向田邦子ドラマ 「幸福」の主題歌でした。よくある「私はあなたが好きだ」ではなく、「あなたは私を必要としてくれた」なのです。悲しいことに過去形がポイントなのですが、何て素敵な歌詞なのでしょう。
僕は向田邦子ドラマの中では、 「あうん」よりも 「阿修羅のごとく」よりも 「幸福」が好きなのです( 中田喜子が好きだっただけかも知れませんが)。当時はしっくりこなかったドラマ中の人間関係や感情やセックスについて、大人になった現在はもう少しわかる様になった気がします。
毎回、ドラマの最初に出てくる言葉(ナレーション)があります。

素顔の幸福はしみもあれば、涙の痕もあります。思いがけない片隅に、不幸のなかに転がっています。屑ダイヤより小さいそれに気がついて掌にすくい上げることの出来る人を、幸福というのかもしれません。

余りにもベタベタな文章かも知れませんが、「You Needed Me」の歌詞と合わせて、まだ恋愛をしたことがなかった中学生の僕は感動しました。今でもこの文章は僕の中で生きています。

幸福―向田邦子シナリオ集〈3〉 (岩波現代文庫)

幸福―向田邦子シナリオ集〈3〉 (岩波現代文庫)